【2026 応用情報技術者 科目A #8】RAID・可用性・信頼度
応用情報技術者試験の科目Aに必要なRAID 0/1/5/6/10の容量と故障許容条件、RAIDとバックアップの違い、直列・並列システムの信頼度、MTBF・MTTRによる稼働率を、例題とオリジナル演習問題5問で学びます。
AP科目A・第8回 · 2026年度・シラバスVer.7.2に基づく独立した学習資料です。IPAとの提携はなく、合格を保証しません。 シリーズ一覧を見る
改訂/出典確認日: 2026-10-20 範囲の出典: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2
免責事項: 本記事は Motitory Labs が独自に作成した学習資料であり、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の承認・監修・提携を受けたものではありません。試験制度・出題範囲・シラバスは変更される可能性があるため、受験前に必ず IPA 公式サイトで最新情報を確認してください。掲載している5問はすべてオリジナル問題であり、過去問題は使用していません。
学習インデックス
- 用語整理(KO/JA/EN)
- RAID 0/1/5/6/10 — 容量と故障許容条件
- 容量計算の例(4 TB ディスク)
- RAID はバックアップではない
- 直列・並列システムの信頼度
- MTBF・MTTR と可用性(稼働率)
- オリジナル問題5問(解説付き)
- クイックシート・よくある落とし穴・最終セルフチェック・復習計画
- 出典とシラバス対応
1. 用語整理
| 한국어 | 日本語 | English | 意味 |
|---|---|---|---|
| 신뢰도 | 信頼度 | reliability | 定められた条件下で、**定められた期間(ミッション時間)**故障せずに機能する確率 |
| 가용성(가동률) | 可用性(稼働率) | availability | システムが使用可能(稼働)状態にある時間の割合/確率 |
| 평균 고장 간격 | 平均故障間隔(MTBF) | mean time between failures | 故障と故障の間の平均稼働時間 |
| 평균 수리 시간 | 平均修復時間(MTTR) | mean time to repair/restore | 故障後の修理・復旧に要する平均時間(定義は文脈により異なる場合あり) |
| 스트라이핑 | ストライピング | striping | データを複数ディスクに分散して書き込む |
| 미러링 | ミラーリング | mirroring | 同じデータを2台以上のディスクに複製して書き込む |
| 패리티 | パリティ | parity | 失われたデータを復元するための冗長情報 |
| 리빌드 | リビルド | rebuild | 交換ディスクにデータを再構成する作業 |
| 직렬 시스템 | 直列システム | series system | すべての構成要素が動作して初めて動作する |
| 병렬 시스템 | 並列システム | (active) parallel system | 1つ以上が動作すれば動作する |
| 백업 | バックアップ | backup | 原本から独立した別コピー(履歴・世代を含む) |
注意: 信頼度(一定期間故障せずに動作する確率)と可用性(定常状態で稼働している時間の割合)は別の指標です。試験では「稼働率」に直列・並列の式をそのまま適用する問題が多いですが、概念そのものを混同しないでください。
2. RAID 0/1/5/6/10
前提: すべてのディスクの使用可能容量は同じ S とし、ファイルシステム・コントローラ・ホットスペア・メタデータのオーバーヘッドは特に記載がない限り無視します。物理容量が異なる場合は、一般に最小のメンバ容量を基準に計算します。以下の「故障許容」はディスク故障のみを指し、コントローラ故障や火災・浸水のような相関(同時)災害までは防げません。
| レベル | 最小台数 | 使用可能容量 | 故障許容(ディスク) |
|---|---|---|---|
| RAID 0(ストライピング) | 2 | N×S | 0 — 1台でも故障すればアレイ喪失 |
| RAID 1(ミラーリング、標準2台構成) | 2 | S | 2台のうちどちらか1台まで |
| RAID 5(分散パリティ) | 3 | (N−1)×S | 任意の1台。リビルド完了前に2台目が故障するとアレイ喪失 |
| RAID 6(二重パリティ) | 4 | (N−2)×S | 任意の2台。3台目の故障でアレイ喪失 |
| RAID 10(ミラー+ストライプ) | 4(偶数) | (N/2)×S | 保証されるのは任意の1台。 各ミラーペアで1台ずつの故障なら最大 N/2 台まで存続しうる。同じペアの2台が故障するとアレイ喪失 |
- RAID 1: 標準的な2台ミラーを前提とします。3台以上のミラーなどは実装(製品)により異なるため一般化しないでください。
- RAID 10 の存続は「何台」ではなく「どのディスク」が故障したかで決まります。 例:6台を (D1,D2)(D3,D4)(D5,D6) の3ミラーペアで構成した場合
- D1・D3・D5 が故障 → 各ペアに1台ずつ残るので存続(3台 = N/2)
- D1・D2 が故障 → 同じペアが全滅しアレイ喪失(わずか2台)
- したがって「RAID 10 は N/2 台まで耐える」という断定は誤りです。保証されるのは任意の1台だけです。
3. 容量計算の例
例A — 同容量 4 TB ディスク6台(S = 4 TB、N = 6)
| レベル | 計算 | 使用可能容量 |
|---|---|---|
| RAID 0 | 6 × 4 | 24 TB |
| RAID 5 | (6 − 1) × 4 | 20 TB |
| RAID 6 | (6 − 2) × 4 | 16 TB |
| RAID 10 | (6 / 2) × 4 | 12 TB |
例B — RAID 1(別の例):同容量 4 TB ディスク2台 → 使用可能容量 4 TB。(6台の RAID 1 は実装により意味が異なり曖昧なため、ここでは扱いません。)
4. RAID はバックアップではない
RAID は一部のディスク故障中もサービスを継続させる可用性の技術です。しかし全メンバが「現在の状態」を同時に反映するため、次のものには無力です。
- 誤操作による削除・上書き → 全メンバに即座に反映
- ランサムウェアによる暗号化、ソフトウェアのバグによるデータ破損 → メンバ全体に伝播
- 盗難・火災・浸水など設置場所全体の喪失
- コントローラ故障、運用者のミス(誤ったディスクの抜去・初期化など)
バックアップには、原本から独立した別コピー、世代/履歴の保管、そして定期的なリストアテストが必要です。
5. 直列・並列システムの信頼度
前提(すべての計算に共通): 各構成要素の信頼度 Ri は同じミッション期間に対する値であり、故障は統計的に互いに独立です。共通原因故障(例:同じ電源を共有)や相関した故障がある場合、以下の式はそのままでは使えません。
直列(すべてが動作して初めて動作)
R_series = R1 × R2 × … × Rn
例: 独立な R1 = 0.98、R2 = 0.99 → 0.98 × 0.99 = 0.9702(97.02%) → 直列につなぐと、最も弱い要素よりも信頼度が低くなります。
アクティブ並列(1つ以上が動作すれば動作)
R_parallel = 1 − (1 − R1)(1 − R2)…(1 − Rn)
余事象の考え方: 「システム故障」=「すべての構成要素が故障」。独立なので全故障の確率は (1 − Ri) の積で、1 から引けばシステムが動作する確率になります。
例: 独立で同じ R = 0.90 の2台 → 1 − (0.10 × 0.10) = 1 − 0.01 = 0.99(99%)
スタンバイ(待機)構成は別物です。 故障時に予備機へ切り替える構成では、切替の成功率(カバレッジ)や待機中の故障の有無などの前提によって計算が変わるため、単純なアクティブ並列の式をそのまま適用してはいけません。
これらの値はミッション信頼度(確率)であり、次節の定常状態の可用性と同じものではありません。
6. MTBF・MTTR と可用性
前提: 修理可能なシステムが稼働(up)と停止(down)を交互に繰り返す定常状態の近似、および単位の統一。
- MTBF:故障と故障の間の平均稼働時間
- MTTR:平均修理/復旧時間(故障検知や待ち時間を含むかなど、定義は文脈により異なりうるため、問題文の定義を確認)
A = MTBF / (MTBF + MTTR) 不稼働率 = MTTR / (MTBF + MTTR) = 1 − A
例: MTBF = 990 h、MTTR = 10 h → A = 990 / 1000 = 0.99(99%)、不稼働の割合 0.01(1%)
年間の期待停止時間(定常モデルにおける期待値): 0.01 × 8,760 h = 87.6 h/年 → これは期待値にすぎず、毎年ちょうど 87.6 時間停止するという予定や保証ではありません。
単位の落とし穴の例: MTBF = 49.5 日、MTTR = 12 時間
- 誤った計算:49.5 / (49.5 + 12) ≈ 0.8049(日と時間が混在)
- 正しい計算:49.5 日 = 49.5 × 24 = 1,188 h → 1,188 / (1,188 + 12) = 1,188 / 1,200 = 0.99
7. オリジナル問題(5問)
以下の問題はすべて Motitory Labs が作成したオリジナル問題です。過去問題ではありません。
問1 — RAID の容量
同容量 2 TB のディスク8台で RAID 6 を構成した。オーバーヘッドを無視したときの使用可能容量はどれか。
- ア. 16 TB
- イ. 14 TB
- ウ. 12 TB
- エ. 8 TB
正解:ウ(12 TB)
解説: RAID 6 = (N − 2) × S = (8 − 2) × 2 = 12 TB
- ア 16 TB:8 × 2 — RAID 0 の容量(パリティなし)
- イ 14 TB:(8 − 1) × 2 — RAID 5 の容量(パリティ1台分)
- エ 8 TB:(8 / 2) × 2 — RAID 10 の容量(半分がミラー)
問2 — RAID 10 の故障パターン
6台のディスクをミラーペア (D1,D2)、(D3,D4)、(D5,D6) にまとめてストライピングした RAID 10 がある。2台同時故障でアレイが失われる組合せはどれか。(リビルド前、他の故障はない)
- ア. D1 と D3
- イ. D3 と D4
- ウ. D2 と D5
- エ. D4 と D6
正解:イ(D3 と D4)
解説: D3・D4 は同じミラーペアなので、そのペアのデータがすべて失われ、ストライプ全体が失われます。
- ア D1・D3:異なるペア → 各ペアに1台ずつ残り存続
- ウ D2・D5:異なるペア → 存続
- エ D4・D6:異なるペア → 存続
RAID 10 の存続は故障の台数ではなく位置(同じペアかどうか)で決まります。
問3 — 直列・並列の信頼度
構成要素 A と B(各信頼度 0.90)をアクティブ並列に接続し、その組を構成要素 C(信頼度 0.95)と直列に接続した。すべての信頼度は同じミッション期間に対する値で、故障は互いに独立である。システムの信頼度はどれか。
- ア. 0.7695
- イ. 0.8550
- ウ. 0.9995
- エ. 0.9405
正解:エ(0.9405 = 94.05%)
解説:
- A∥B:1 − (1 − 0.90)(1 − 0.90) = 1 − 0.01 = 0.99
- (A∥B) と C の直列:0.99 × 0.95 = 0.9405
- ア 0.7695:0.90 × 0.90 × 0.95 — 3つとも直列として計算した誤り
- イ 0.8550:0.90 × 0.95 — 並列要素を1つしか反映していない誤り
- ウ 0.9995:1 − (0.10 × 0.10 × 0.05) — 3つとも並列として計算した誤り
問4 — MTBF・MTTR と単位
ある修理可能なサーバの MTBF が 49.5 日、MTTR が 12 時間である。定常状態の近似における可用性(稼働率)はどれか。
- ア. 0.9900
- イ. 0.0100
- ウ. 0.8049
- エ. 0.9899
正解:ア(0.99 = 99%)
解説: 単位を統一:49.5 日 × 24 = 1,188 h。A = 1,188 / (1,188 + 12) = 1,188 / 1,200 = 0.99
- イ 0.0100:MTTR / (MTBF + MTTR) — 可用性ではなく不稼働率
- ウ 0.8049:49.5 / (49.5 + 12) — 日と時間を混在させた単位の誤り
- エ 0.9899:1 − MTTR/MTBF = 1 − 12/1,188 ≈ 0.98990 — 分母から MTTR を落とした近似の誤り
問5 — RAID とバックアップ、前提の区別
最も適切な記述はどれか。
- ア. RAID 1 は同じデータが2台にあるので、別途バックアップは不要である。
- イ. RAID 6 は任意のディスク2台の故障中も運用を継続できるが、誤って削除したファイルは全メンバから削除されるため、世代管理された別のバックアップとリストアテストが必要である。
- ウ. 信頼度 0.90 のサーバ2台を並列にすれば、2台が1つの電源装置を共有し、その故障で両方が停止する場合でも、システムの信頼度は 0.99 である。
- エ. 可用性が 0.99 であれば、システムは毎年ちょうど 87.6 時間停止することが保証される。
正解:イ
解説: RAID 6 はディスク2台の故障まで可用性を維持しますが、削除・上書きは全メンバに反映されるため、独立したコピー・履歴・リストアテストを備えたバックアップが別途必要です。
- ア:ミラーは削除・ランサムウェア・破損をそのまま複製するため、バックアップではありません。
- ウ:共有電源は共通原因故障であり、独立の前提が崩れます。0.99 は独立の場合にのみ成り立ちます。
- エ:87.6 h/年は定常モデルにおける期待値であり、予定や保証ではありません。
8. クイックシート
| 項目 | 式/要点 |
|---|---|
| RAID 0 | N×S、許容0台、最小2台 |
| RAID 1(2台) | S、どちらか1台まで |
| RAID 5 | (N−1)S、任意の1台、最小3台 |
| RAID 6 | (N−2)S、任意の2台、最小4台 |
| RAID 10 | (N/2)S、保証は任意の1台、同じペア2台でアレイ喪失、偶数4台以上 |
| 直列 | ∏Ri(独立・同じ期間) |
| アクティブ並列 | 1 − ∏(1 − Ri)(独立・同じ期間) |
| 可用性 | MTBF / (MTBF + MTTR)、単位を統一 |
| 不稼働率 | MTTR / (MTBF + MTTR) |
よくある落とし穴
- RAID 10 を「N/2 台まで耐える」と断定 — 保証は1台のみ。
- RAID 5 のリビルド中の2台目故障を見落とす。
- RAID(可用性)をバックアップ(履歴コピー)と取り違える。
- 日単位の MTBF と時間単位の MTTR を混在させる。
- 1 − MTTR/MTBF で近似する、または不稼働率を可用性として答える。
- 共通原因故障があるのに独立並列の式を適用する。
- スタンバイ構成をアクティブ並列と同じに計算する。
- ミッション信頼度と定常可用性を混同する、年間の期待停止時間を保証と解釈する。
- 0.99 と 99% を途中で混在させ、100倍の誤差を出す。
最終セルフチェック
- 4 TB × 6台の RAID 0/5/6/10 の容量(24/20/16/12 TB)をすぐ言える。
- RAID 10 で3台故障でも存続する例と、2台故障で失われる例を挙げられる。
- RAID がバックアップではない理由を3つ以上言える。
- 0.98 × 0.99 = 0.9702、1 − 0.1² = 0.99 を前提とともに説明できる。
- MTBF 990 h、MTTR 10 h → 0.99、年間期待停止 87.6 h(期待値)を説明できる。
- 日/時間の単位を統一してから計算できる。
復習計画
- 1日後: クイックシートを隠し、RAID の表と3つの式を白紙に再現する。
- 3日後: 問1〜5を解説なしで解き直し、誤りの選択肢がなぜ誤りかを口頭で説明する。
- 7日後: 数値を変えて自分で変形問題を作る(例:8台の RAID 10、MTBF 30 日/MTTR 6 h)。
9. 出典とシラバス対応
- 公式出典: IPA 応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/omgdg50000005kq5-att/syllabus_ap_ver7_2.pdf(2026-10-20 確認)
- 対応(大分類2:コンピュータシステム/中分類4:システム構成要素):
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- システムの構成 —(2)システム構成 → 第2・5節(冗長構成による信頼性向上)
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- システムの構成 —(6)ストレージ → 第2・3・4節(RAID0、RAID1、RAID10、RAID5、RAID6、ストライピング、ミラーリング、パリティ)
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- システムの構成 —(7)信頼性設計 → 第5節(信頼性ブロック図、並列運転、予備切替)
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- システムの評価指標 —(2)システムの信頼性特性と評価 — ① RASIS → 第1節(Reliability と Availability の区別)
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- システムの評価指標 —(2)システムの信頼性特性と評価 — ② 信頼性指標と信頼性計算 → 第5・6節(MTBF、MTTR、稼働率、直列・並列の計算)
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- 今回の対象外: RAID 2/3/4 の詳細、チャンクサイズ、NAS/SAN、バックアップサイト設計、RASIS の詳細、バスタブ曲線、ストレージ性能ベンチマーク → 後続回。
- 過去問題の使用: なし。5問すべてオリジナル。