2026年 応用情報技術者試験 科目A 第3回:確率・期待値・統計

応用情報技術者試験の科目Aに必要な順列と組合せ、条件付き確率とベイズの定理、期待値と分散、二項分布、記述統計、相関係数とp値を、例題とオリジナル演習問題4問で学びます。

応用情報技術者試験科目A確率統計

AP科目A・第3回 · 2026年度・シラバスVer.7.2に基づく独立した学習資料です。IPAとの提携はなく、合格を保証しません。 シリーズ一覧を見る

最終改訂日:2026-10-20 本記事は、2026年の試験を対象に、IPA公式「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」の範囲を基準として作成した学習資料です。 Motitory Labsは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)と提携・承認・後援の関係にはなく、本記事はIPAの公式資料ではありません。本記事で学習しても合格が保証されるものではありません。 試験要綱・シラバスは改訂される場合があるため、受験前に必ずIPA公式サイトで最新情報を確認してください。 本記事の例題と演習問題は、すべてMotitoryオリジナル問題であり、IPAの公式過去問題ではありません。


学習目次

  1. 学習目標
  2. 用語対応表(韓国語↔日本語↔英語)
  3. 場合の数:順列と組合せ
  4. 確率の基本法則と条件付き確率・ベイズの定理
  5. 確率変数・期待値・分散
  6. ベルヌーイ分布・二項分布、離散型と連続型
  7. 記述統計:代表値・ばらつき・グラフ
  8. 相関と推測統計の重要用語
  9. 例題と解説
  10. オリジナル演習問題4問
  11. 公式まとめ
  12. よくある誤り
  13. 最終セルフチェック
  14. 1日・3日・7日後の間隔復習の提案
  15. IPAシラバスとの対応
  16. 出典

1. 学習目標

この回を終えたら、次のことができるようになることを目指します。

  • 順序が重要かどうかを判断し、順列 nPr と組合せ nCr を区別して計算する。
  • 余事象、加法定理(重なり部分を含む)、乗法定理を使って確率を求める。
  • 独立と排反の違いを説明する。
  • 条件付き確率とベイズの定理を使い、「検査で陽性のとき実際に不良である確率」のような問題を解く。
  • 離散型確率変数の期待値・分散・標準偏差を計算し、期待値が実際に起こり得る値である必要はないことを理解する。
  • 二項分布の基本公式を使い、連続型分布では確率密度が1点の確率ではないことを説明する。
  • 平均値・中央値・最頻値、分散・標準偏差、ヒストグラム・箱ひげ図を解釈する。
  • 相関係数の範囲と向きを解釈し、相関が因果ではないことを説明する。
  • p値・有意水準・第1種/第2種の誤りといった推測統計の用語を正しく解釈する。

2. 用語対応表(韓国語↔日本語↔英語)

試験問題で使われる日本語の表現をすぐに認識できるよう整理しました。

韓国語 日本語 English
경우의 수 場合の数 number of cases (counting)
계승(팩토리얼) 階乗 factorial
순열 順列 permutation
조합 組合せ combination
확률 確率 probability
여사건 余事象 complementary event
덧셈정리 加法定理 addition rule
곱셈정리 乗法定理 multiplication rule
동시확률 同時確率 joint probability
배반(상호배반) 排反 mutually exclusive
독립 独立 independent
조건부확률 条件付き確率 conditional probability
베이즈 정리 ベイズの定理 Bayes’ theorem
확률변수 確率変数 random variable
확률분포 確率分布 probability distribution
베르누이 분포 ベルヌーイ分布 Bernoulli distribution
이항분포 二項分布 binomial distribution
확률밀도 確率密度 probability density
정규분포 正規分布 normal distribution
기댓값 期待値 expected value
분산 分散 variance
표준편차 標準偏差 standard deviation
평균값 平均値 mean
중앙값 中央値(メジアン) median
최빈값 最頻値(モード) mode
도수분포표 度数分布表 frequency distribution table
히스토그램 ヒストグラム histogram
상자수염그림 箱ひげ図 box plot (box-and-whisker plot)
사분위수 四分位数 quartile
이상값 外れ値 outlier
상관계수 相関係数 correlation coefficient
의사상관(허위상관) 擬似相関 spurious correlation
모집단 / 표본 母集団 / 標本 population / sample
점추정 / 구간추정 点推定 / 区間推定 point estimation / interval estimation
귀무가설 帰無仮説 null hypothesis
대립가설 対立仮説 alternative hypothesis
유의수준 有意水準 significance level
p값 p値(有意確率) p-value
제1종 오류 第1種の誤り Type I error
제2종 오류 第2種の誤り Type II error
검정력 検出力(検定力) power

3. 場合の数:順列と組合せ

3.1 基本原理

  • 積の法則:段階1の方法が m 通り、そのそれぞれに対して段階2の方法が n 通りあれば、全体は m × n 通り。
  • 和の法則:同時に起こらない(重ならない)場合 A が m 通り、B が n 通りなら、A または B は m + n 通り。

3.2 階乗

n! = n × (n−1) × … × 2 × 1。ただし 0! = 1 と定義します。 例:4! = 24。n 個を一列に並べる方法の数が n! です。

3.3 順列と組合せ

記号:n = 全体の個数、r = 選ぶ個数(0 ≤ r ≤ n)

区分 順序 公式 例(n=5, r=2)
順列 nPr 区別する nPr = n! / (n−r)! 5P2 = 5 × 4 = 20
組合せ nCr 区別しない nCr = n! / (r!(n−r)!) = nPr / r! 5C2 = 20 / 2 = 10
重複順列 区別する・同じものの繰返しを許す n^r 5^2 = 25

判断のコツ:選んだ結果の順序を入れ替えたとき「別の場合」と数えるなら順列、「同じ場合」なら組合せです。

  • 会長・副会長のように役割が区別されるなら順序が重要 → 順列
  • 委員2名のように役割が同じなら順序は無関係 → 組合せ

nCr = nC(n−r) の性質も覚えておくと計算が速くなります(例:8C6 = 8C2 = 28)。


4. 確率の基本法則と条件付き確率・ベイズの定理

記号:P(A) = 事象 A の確率、Aᶜ = A の余事象、A∩B = A と B がともに起こる、A∪B = A または B が起こる。

4.1 基本

  • すべての結果が同様に確からしいとき:P(A) = (A に当てはまる場合の数)/(全体の場合の数)
  • 0 ≤ P(A) ≤ 1
  • 余事象:P(Aᶜ) = 1 − P(A)。「少なくとも1つ」は余事象で解くほうが速いことが多いです。

4.2 加法定理(重なり部分に注意)

P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B)

A と B が排反(同時に起こり得ない、P(A∩B)=0)のときに限り、P(A∪B) = P(A) + P(B) となります。

4.3 乗法定理と独立

  • 乗法定理:P(A∩B) = P(A) × P(B|A)
  • 独立:一方の事象が起こったかどうかが、もう一方の確率に影響しない → P(A∩B) = P(A) × P(B)

独立 ≠ 排反:P(A)>0、P(B)>0 の2つの事象が排反なら、P(A∩B)=0 ≠ P(A)P(B) なので独立ではありません。「A が起これば B は決して起こらない」というのは強い影響だからです。

4.4 条件付き確率

P(B|A) = P(A∩B) / P(A) (ただし P(A) > 0)

「A が起こったという条件のもとでの B の確率」であり、分母が全体ではなくA に絞り込まれた世界である点が要です。一般に P(B|A) と P(A|B) は異なります。

4.5 ベイズの定理

P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B) ここで全確率より:P(B) = P(B|A)P(A) + P(B|Aᶜ)P(Aᶜ)

結果(B、例:検査で陽性)を見て、原因(A、例:実際に不良)の確率を逆向きに求めるときに使います。原因の事前確率 P(A) が小さいと、検査が正確でも P(A|B) は意外に小さくなることがあります(例題2参照)。


5. 確率変数・期待値・分散

5.1 離散型確率変数

確率変数 X が値 x₁, x₂, …, xₙ を確率 P(X=xᵢ) でとるとき、この対応を確率分布といいます。離散型では

  • 各 P(X=xᵢ) ≥ 0
  • Σ P(X=xᵢ) = 1(すべての確率の和は1)

5.2 期待値・分散・標準偏差

指標 公式 意味
期待値 E[X] = Σ x · P(X=x) 確率で重み付けした平均
分散 V[X] = E[(X−E[X])²] = E[X²] − (E[X])² 期待値のまわりの散らばり
標準偏差 σ = √V[X] 元の単位に戻した散らばり

ここで E[X²] = Σ x² · P(X=x) です。(E[X])² と E[X²] は異なります。

線形変換の性質(a, b は定数):

  • E[aX + b] = aE[X] + b
  • V[aX + b] = a²V[X](定数 b を足しても分散は変わらない)

期待値は実際に起こり得る値である必要はありません。 たとえば公正なサイコロの期待値は 3.5 ですが、3.5 の目は出ません。期待値は「何度も繰り返したときの平均的な値」です。


6. ベルヌーイ分布・二項分布、離散型と連続型

6.1 ベルヌーイ分布

成功(1)の確率が p、失敗(0)の確率が 1−p の1回の試行。 E[X] = p、V[X] = p(1−p)

6.2 二項分布 B(n, p)

互いに独立なベルヌーイ試行を n 回繰り返したときの成功回数 X。

P(X = k) = nCk · p^k · (1−p)^(n−k) (k = 0, 1, …, n) E[X] = np、V[X] = np(1−p)

例:公正なコインを3回投げて表がちょうど2回出る確率 = 3C2 × (1/2)² × (1/2)¹ = 3/8。このとき E[X] = 1.5、V[X] = 0.75。

6.3 離散型と連続型(概要)

離散型 連続型
値 数えられる値(0, 1, 2, …) 区間内のすべての実数
確率の表し方 確率質量 P(X=x) 確率密度関数 f(x)
確率の計算 該当する値の確率を足す 区間の面積(積分)P(a≤X≤b)=∫ₐᵇ f(x)dx
1点の確率 0より大きくなり得る P(X=a) = 0

確率密度 f(x) は1点の確率ではありません。 密度の値は1より大きくなることもあり、全体の面積が1になります。 代表的な連続型である正規分布では、平均 ±1σ に約68%、±2σ に約95%が入るという近似を覚えておくと便利です。


7. 記述統計:代表値・ばらつき・グラフ

7.1 代表値

記号:データ x₁, …, xₙ、データの個数 n

  • 平均値:x̄ = (x₁ + … + xₙ) / n ― 極端な値(外れ値)の影響を大きく受ける
  • 中央値:大きさ順に並べたときの真ん中の値(n が偶数なら真ん中2つの平均)― 外れ値に強い
  • 最頻値:最も多く現れる値

右に裾が長い分布(大きい側に外れ値)では、通常 平均値 > 中央値 となります。

7.2 ばらつき

  • 範囲 = 最大値 − 最小値
  • 分散 = 偏差の2乗の平均:s² = Σ(xᵢ − x̄)² / n
  • 標準偏差 = √分散
  • 標本から母集団の分散を推定するときは、n の代わりに n−1 で割る不偏分散を使うこともあります。問題でどちらかを確認しましょう。

7.3 グラフ

  • 度数分布表・ヒストグラム:データを階級(区間)に分け、度数を棒で表す。分布の形(山、偏り)を見る。棒と棒の間に隙間を空けないのが一般的です。
  • 箱ひげ図:最小値、第1四分位数 Q1、中央値(Q2)、第3四分位数 Q3、最大値を表示する。
    • 四分位範囲 IQR = Q3 − Q1(中央50%のデータの幅)
    • よく使われる慣例として、Q1 − 1.5×IQR 未満または Q3 + 1.5×IQR 超を外れ値として表示することがあります。四分位数の計算方法や外れ値の基準は資料によって異なる場合があるため、問題の定義に従ってください。

8. 相関と推測統計の重要用語

8.1 相関係数

相関係数 r は、2つの変数の直線的な関係の向きと強さを表します。

  • −1 ≤ r ≤ 1
  • r > 0:正の相関(一方が大きいと他方も大きい傾向)、r < 0:負の相関
  • |r| が1に近いほど直線的な関係が強い
  • r ≈ 0 でも「まったく関係がない」という意味ではない(曲線的な関係の可能性がある)

相関 ≠ 因果:相関が高くても、一方が他方の原因だと断定することはできません。第3の変数が両方の変数に影響して生じる相関を擬似相関といいます。

8.2 推測統計の用語まとめ

用語 簡単な説明
母集団 / 標本 知りたい対象の全体 / そのうち実際に観測した一部
点推定 母数を1つの値で推定する(例:標本平均で母平均を推定)
区間推定 母数が入ると考えられる区間を信頼係数とともに示す
帰無仮説 H₀ 「差がない/効果がない」などの基準となる仮説
対立仮説 H₁ 帰無仮説を否定して示したい仮説
有意水準 α 帰無仮説が正しいのに棄却してしまう危険をどこまで許すかを事前に決めた基準(例:5%)
p値 帰無仮説が正しいと仮定したとき、観測された結果以上に極端な結果が得られる確率
判定 p値 ≤ α なら帰無仮説を棄却、p値 > α なら棄却しない
第1種の誤り 帰無仮説が正しいのに棄却する誤り。有意水準 α はこの誤りの確率の上限であり、検定がちょうどサイズ α になるよう調整されている場合に限り、実際の確率が α と等しくなります。
第2種の誤り 帰無仮説が誤りなのに棄却しない誤り(確率 β)
検出力 帰無仮説が誤りのとき正しく棄却する確率 = 1 − β

注意:p値は「帰無仮説が正しい確率」ではありません。また、「棄却しない」は「帰無仮説が正しいと証明された」ことを意味しません。


9. 例題と解説

以下の例題はすべてMotitoryオリジナルであり、IPAの過去問題ではありません。

例題1(場合の数・確率):5人から2人を選ぶ

A、B、C、D、E の5人がいます。 (1) 会長1人と副会長1人を選ぶ方法は何通りか。 (2) 委員2人を選ぶ方法は何通りか。 (3) 委員2人を無作為に選ぶとき、A が含まれる確率はいくらか。

解説 (1) 役割が区別されるので順列:5P2 = 5 × 4 = 20通り (2) 役割が同じなので組合せ:5C2 = 20 / 2! = 10通り (3) A が含まれる場合:A を先に確定し、残り4人から1人 → 4C1 = 4通り。確率 = 4/10 = 2/5 余事象で確認:A が含まれない場合 = 4C2 = 6通り → 1 − 6/10 = 2/5 ✔

例題2(条件付き確率・ベイズの定理):不良品の検査

ある工場では製品の2%が不良品です。検査機は不良品を90%の確率で「不良」と判定し、良品も5%の確率で誤って「不良」と判定します。検査機が「不良」と判定した製品が実際に不良品である確率はいくらか。

解説 D = 実際に不良、+ = 「不良」判定 とすると

  • P(D) = 0.02、P(Dᶜ) = 0.98
  • P(+|D) = 0.90、P(+|Dᶜ) = 0.05

全確率:P(+) = 0.90 × 0.02 + 0.05 × 0.98 = 0.018 + 0.049 = 0.067 ベイズの定理:P(D|+) = 0.018 / 0.067 = 18/67 ≈ 0.269(約26.9%)

検査機がかなり正確に見えても、不良率(事前確率)が低いと、「不良」判定の大部分は良品の誤判定になります。10,000個で考えると、不良品200個のうち180個、良品9,800個のうち490個が「不良」判定 → 180/670 ≈ 26.9%。

例題3(期待値・分散):離散型確率変数

確率変数 X の分布は次のとおりです。

x 0 1 2
P(X=x) 0.2 0.5 0.3

解説

  • 確率の和の確認:0.2 + 0.5 + 0.3 = 1 ✔
  • E[X] = 0×0.2 + 1×0.5 + 2×0.3 = 0 + 0.5 + 0.6 = 1.1
  • E[X²] = 0²×0.2 + 1²×0.5 + 2²×0.3 = 0 + 0.5 + 1.2 = 1.7
  • V[X] = 1.7 − 1.1² = 1.7 − 1.21 = 0.49
  • σ = √0.49 = 0.7

X は 0、1、2 のいずれかしかとりませんが、期待値は 1.1 です。期待値が実際に起こり得る値である必要はありません。

例題4(記述統計):代表値と外れ値

データ:2, 4, 4, 5, 10

解説

  • 平均値 = (2+4+4+5+10)/5 = 25/5 = 5
  • 中央値 = 並べた5個のうち3番目 = 4
  • 最頻値 = 4
  • 偏差:−3, −1, −1, 0, 5 → 偏差の2乗の和 = 9+1+1+0+25 = 36
  • n で割った分散 = 36/5 = 7.2(標準偏差 ≈ 2.68)
  • n−1 で割った不偏分散 = 36/4 = 9(標準偏差 = 3)

大きな値10が平均を引き上げ、平均値(5)> 中央値(4)となりました。外れ値があるときは、中央値のほうが代表値として安定しています。


10. オリジナル演習問題4問

次の4問はMotitoryオリジナル問題であり、IPAの公式過去問題ではありません。まず自分で解いてから解説を確認してください。

問題1(場合の数・順序)

8人のメンバーから、リーダー、サブリーダー、記録係を1人ずつ選びます。1人が2つ以上の役割を兼ねることはできません。選び方は全部で何通りありますか。

  • A. 24
  • B. 56
  • C. 336
  • D. 512
正解と解説

正解:C

役割が互いに異なるので順序が重要であり、同じ人の重複は許されません → 順列 8P3 = 8 × 7 × 6 = 336。

  • A. 24 = 3! は、すでに決まった3人に役割を割り当てる方法だけを数えた値です。8人から3人を選ぶ段階が抜けています。
  • B. 56 = 8C3 は、役割の区別(順序)を無視した組合せです。56 × 3! = 336 となるべきです。
  • C. 正解です。8P3 = 336。
  • D. 512 = 8³ は、1人が複数の役割を兼ねられる重複順列です。問題の条件に反します。

問題2(重なり・条件付き確率)

従業員200人のうち、サービスXの利用者は120人、サービスYの利用者は80人、両方のサービスを利用している人は50人です。無作為に選んだ従業員がサービスXの利用者であるとき、その従業員がサービスYも利用している確率はいくらですか。

  • A. 1/4
  • B. 5/12
  • C. 5/8
  • D. 3/4
正解と解説

正解:B

条件が「Xの利用者」なので、分母はXの利用者120人です。P(Y|X) = P(X∩Y)/P(X) = 50/120 = 5/12。

  • A. 1/4 = 50/200 は、両方を利用する同時確率 P(X∩Y) です。条件によって分母を絞り込んでいません。
  • B. 正解です。50/120 = 5/12。
  • C. 5/8 = 50/80 は、逆向きの条件付き確率 P(X|Y) です。
  • D. 3/4 = 150/200 は、少なくとも一方を利用する確率 P(X∪Y) = (120+80−50)/200 です。重なりは正しく引いていますが、問われている値が異なります。

問題3(期待値・分散)

あるゲームで得られるポイント X は、確率0.6で0、確率0.4で5です。X の期待値 E[X] と分散 V[X] の組合せとして正しいものはどれですか。

  • A. E[X] = 2、V[X] = 4
  • B. E[X] = 2、V[X] = 10
  • C. E[X] = 2.5、V[X] = 6.25
  • D. E[X] = 2、V[X] = 6
正解と解説

正解:D

E[X] = 0×0.6 + 5×0.4 = 2 E[X²] = 0²×0.6 + 5²×0.4 = 10 V[X] = E[X²] − (E[X])² = 10 − 4 = 6

  • A. V[X] = 4 は、(E[X])² = 2² を分散と取り違えた値です。
  • B. V[X] = 10 は、E[X²] から (E[X])² を引いていない値です。
  • C. 確率を無視して0と5を同じ確率(0.5ずつ)とみなした値です。平均2.5、分散6.25になりますが、与えられた確率と異なります。
  • D. 正解です。E[X] = 2、V[X] = 6。

問題4(推測統計の解釈)

有意水準5%で仮説検定を行った結果、p値が0.03でした。この結果の解釈として最も適切なものはどれですか。

  • A. 帰無仮説が正しいと仮定したとき、観測された結果以上に極端な結果が得られる確率が0.03なので、有意水準5%で帰無仮説を棄却する。
  • B. 帰無仮説が正しい確率は3%である。
  • C. 対立仮説が97%の確率で正しいことが証明された。
  • D. p値が有意水準より小さいので、帰無仮説を棄却しない。
正解と解説

正解:A

p値 0.03 ≤ 有意水準 0.05 なので帰無仮説を棄却します。p値は、帰無仮説を前提とした「観測された結果以上に極端な結果が得られる確率」です。

  • A. 正解です。p値の定義と判定規則をどちらも正しく述べています。
  • B. p値は帰無仮説が正しい確率ではありません。帰無仮説が正しいと仮定した状態で計算した確率です。
  • C. 1 − p値は対立仮説が正しい確率ではなく、また検定は仮説を「証明」するものではありません。
  • D. 判定の向きが逆です。p値 ≤ 有意水準 なら帰無仮説を棄却します。

11. 公式まとめ

項目 公式
階乗 n! = n(n−1)…1、0! = 1
順列 nPr = n!/(n−r)!
組合せ nCr = n!/(r!(n−r)!) = nPr/r!、nCr = nC(n−r)
重複順列 n^r
余事象 P(Aᶜ) = 1 − P(A)
加法定理 P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B)
乗法定理 P(A∩B) = P(A)P(B|A)
独立 P(A∩B) = P(A)P(B)
条件付き確率 P(B|A) = P(A∩B)/P(A)
ベイズの定理 P(A|B) = P(B|A)P(A) / [P(B|A)P(A) + P(B|Aᶜ)P(Aᶜ)]
期待値 E[X] = Σ x·P(X=x)
分散 V[X] = E[X²] − (E[X])²
標準偏差 σ = √V[X]
線形変換 E[aX+b] = aE[X]+b、V[aX+b] = a²V[X]
ベルヌーイ分布 E = p、V = p(1−p)
二項分布 P(X=k) = nCk p^k (1−p)^(n−k)、E = np、V = np(1−p)
平均値 x̄ = Σxᵢ / n
四分位範囲 IQR = Q3 − Q1
相関係数 −1 ≤ r ≤ 1
検定の判定 p値 ≤ α → 帰無仮説を棄却

12. よくある誤り

  1. 役割が区別されるのに組合せで計算する、または役割が同じなのに順列で計算する。
  2. 加法定理で重なり部分 P(A∩B) を引き忘れる。
  3. 排反と独立を同じ概念と取り違える。
  4. P(B|A) と P(A|B) を混同する(条件付き確率の分母を誤る)。
  5. ベイズの問題で事前確率(基準率)を無視する。
  6. 分散を E[X²] で止めてしまう、または (E[X])² と混同する。
  7. 期待値は実際に起こり得る値でなければならないと考える。
  8. 連続型分布で密度 f(a) を P(X=a) と読んでしまう。
  9. 外れ値のあるデータで、平均値だけで代表性を判断する。
  10. 相関係数が大きいことを理由に因果関係を断定する。
  11. p値を「帰無仮説が正しい確率」と解釈する、または棄却しないことを「帰無仮説が証明された」と解釈する。
  12. 第1種の誤りと第2種の誤りの定義を取り違える。

13. 最終セルフチェック

  • 順列と組合せのどちらを使うかを「順序が重要か」で判断できる。
  • P(A∪B) の公式と、それが P(A)+P(B) に単純化される条件を言える。
  • 排反な2つの事象(どちらも確率が正)が独立でない理由を説明できる。
  • 例題2を表や10,000個の仮定で解き直せる。
  • E[X]、E[X²]、V[X]、σ を順に計算できる。
  • 二項分布の P(X=k)、E、V の公式を書ける。
  • 確率密度が1点の確率ではない理由を説明できる。
  • 箱ひげ図から Q1、中央値、Q3、IQR を読み取れる。
  • p値の定義と第1種/第2種の誤りを正確に言える。

14. 1日・3日・7日後の間隔復習の提案

この提案は学習者の情報を一切収集しません。記録はご自身のノートやカレンダーだけに残してください。

  • 1日後:公式まとめを隠し、順列・組合せ・加法定理・ベイズの定理・分散の公式を紙に書き出す。演習問題1・2を解き直す。
  • 3日後:例題2と例題3を解説を見ずに解き直し、演習問題3を解く。よくある誤りの一覧で自分に当てはまる項目を確認する。
  • 7日後:演習問題4問をすべて解き直し、各誤答選択肢がなぜ誤りかを説明してみる。セルフチェックの項目をすべてチェックできるか確認する。

15. IPAシラバスとの対応

この回は、IPA「応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2」の次の項目に対応します。

  • 大分類1:基礎理論/中分類1:基礎理論/2. 応用数学/(1)確率と統計/①確率
  • 大分類1:基礎理論/中分類1:基礎理論/2. 応用数学/(1)確率と統計/②統計

この回は、科目Aで重要な中核となる計算と解釈を優先して扱います。上記シラバスの小項目に含まれるすべての用語(例:マルコフ過程、ポアソン分布、指数分布、カイ二乗分布、回帰分析、分散分析、主成分分析、最尤推定、t検定など)を網羅的に扱うと主張するものではありません。


16. 出典

上記の出典は学習範囲の確認にのみ使用しました。本記事の解説、例題、演習問題はMotitory Labsが独自に作成したものです。

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