AP25 — SLA、インシデント・問題・変更・リリース管理
応用情報技術者試験の科目Aに向けて、SLA・SLO・SLIとサービスレベル管理、可用性と許容停止時間の計算、インシデント管理と問題管理の違い、変更・リリース管理の順序を、決済API停止の事例とオリジナル問題5問で学びます。
AP科目A・第25回 · 2026年度・シラバスVer.7.2に基づく独立した学習資料です。IPAとの提携はなく、合格を保証しません。 シリーズ一覧を見る
- 改訂日/出典確認日:2026-10-21
- 試験基準:2026年IPA応用情報技術者試験シラバスVer.7.2。2027年以降の提案・検討資料は試験基準から除外します。
学習インデックス
PDFページと印刷フッターのページは異なる番号体系です。
- PDF 90/印刷86:サービス管理、ITIL、SLA/SLO/SLI、可用性・信頼性・サービス時間・応答時間
- PDF 91/印刷87:サービスレベルの定義・合意・文書化・管理と定期的な監視・レビュー・報告
- PDF 92/印刷88:変更方針、RFCの記録・分類・優先順位・評価・承認・構築・テスト・ロールバック、CAB、PIR
- PDF 93/印刷89:サービス設計・移行、リリース/展開、インシデントの記録・分類・優先順位・エスカレーション・解決・終了、重大インシデント
- PDF 94/印刷90:問題の傾向・根本原因・予防・既知の誤り・回避策、可用性の要求・目標・監視・調査、MTBF/MTTR
共通用語表
| English | 한국어 | 日本語 |
|---|---|---|
| service-level agreement (SLA) | 서비스 수준 협약(SLA) | サービスレベル合意書(SLA) |
| service-level objective (SLO) | 서비스 수준 목표(SLO) | サービスレベル目標(SLO) |
| service-level indicator (SLI) | 서비스 수준 지표(SLI) | サービスレベル指標(SLI) |
| service-level management (SLM) | 서비스 수준 관리(SLM) | サービスレベル管理(SLM) |
| availability | 가용성 | 可用性 |
| incident | 인시던트 | インシデント |
| problem | 문제 | 問題 |
| known error | 알려진 오류 | 既知の誤り |
| workaround | 우회책 | 回避策 |
| request for change (RFC) | 변경 요청(RFC) | 変更要求(RFC) |
| change advisory board (CAB) | 변경 자문 위원회(CAB) | 変更諮問委員会(CAB) |
| post-implementation review (PIR) | 구현 후 검토(PIR) | 実施後レビュー(PIR) |
| release and deployment | 릴리스 및 배포 | リリース及び展開 |
| mean time between failures (MTBF) | 평균 고장 간격(MTBF) | 平均故障間隔(MTBF) |
| mean time to repair (MTTR) | 평균 수리 시간(MTTR) | 平均修復時間(MTTR) |
1. SLAと反復活動であるSLM
SLAはサービスと合意した性能を特定する合意文書である。SLOはその中の目標値、SLIは実際のサービス状態を示す測定値である。例えば「月間可用性99.9%」はSLO、観測した月間可用性はSLIになり得る。SLMは単なる文書ではなく、サービスレベルを定義・合意・文書化・管理し、目標に対する実績を定期的に監視・レビュー・報告する反復活動である。
2. 可用性の式と詳細計算
本稿では次の測定規約を明示する。
可用性 = (合意サービス時間 - 算入停止時間) / 合意サービス時間 × 100
30日間24×7サービスの合意時間は30×24=720時間である。算入する計画外停止が3時間なら稼働時間は720-3=717時間、実可用性は717/720×100=99.5833...%、小数第2位までで**99.58%**である。
SLOが99.9%なら許容停止は720×(1-0.999)=0.72時間=43.2分である。実際の3時間は180分なので、許容値を180-43.2=136.8分超える。したがって99.58%は99.9%目標を満たさない。計画停止や除外時間を分母・分子でどう扱うかはSLAに従い、報告期間を通じて一貫させる必要がある。
3. インシデントと問題
インシデント管理の目的は正常サービスを迅速に復旧し、事業影響を抑えることである。記録・分類し、影響度と緊急度の両方で優先順位を決め、必要ならエスカレーションし、解決又は回避して、復旧確認後に終了する。根本原因の証明より復旧を先行できる。
問題管理はインシデントの傾向と根本原因を分析し、発生・再発を予防する。原因を除去できるまで、既知の誤りと回避策を文書化できる。恒久修正に変更が必要なら変更方針に従う。復旧中心のインシデント管理と原因・予防中心の問題管理は連携するが、同一活動ではない。
4. 変更、リリース及び展開
変更管理はRFCを記録・分類して優先順位を決め、リスク、事業便益、実現可能性、財務的影響を評価する。定義された権限又はCABが承認し、構築・テストとロールバック計画及びロールバックテストを行う。組織の手順で定める場合はPIRで結果と改善点を確認する。
リリース/展開管理は承認されテスト済みの変更をまとめて計画し、本番環境に配置し、成功・失敗を監視・レビューしてリリース情報を共有する。承認は展開そのものではない。
5. 具体例:決済API停止
架空の店舗で決済APIが停止したとする。顧客影響が広く売上損失が即時に生じるため、インシデントチームは影響度と緊急度を共に高いと評価し、高優先度を割り当てエスカレーションする。待機系にフェイルオーバーして復旧し、措置と状況を記録・連絡する。
続く問題調査はコネクションプール枯渇を根本原因と特定し、既知の誤りと「しきい値前にインスタンスを循環させる」という一時回避策を文書化する。RFCは設定とコードの変更を提案する。変更管理はリスク・便益・実現可能性・費用を評価して承認を得た後、変更の構築・テストを行い、ロールバック手順を準備・試験する。リリースチームは承認されテスト済みの変更を展開し、指標を監視して結果をレビュー・共有する。実在する個人情報は含まない。
6. オリジナル四肢択一問題
Q1
上記の規約で、720時間中の算入停止が3時間、SLOが99.9%の場合、正しい説明はどれか。
- ア 99.90%で目標達成、許容停止は180分である。
- イ 99.58%で目標未達、許容停止は43.2分である。
- ウ 99.42%で目標未達、許容停止は72分である。
- エ 99.58%で目標達成、許容停止は136.8分である。
正解:イ (2)。 アは実測値と許容値を混同する。イは717/720と720×0.001を正しく計算する。ウは可用性と許容値の両方が誤りである。エは実測値だけ正しいが、判定を誤り、超過136.8分を許容値と取り違える。
Q2
決済API停止直後に最も適切な対応はどれか。
- ア 根本原因が証明されるまで復旧を延期する。
- イ 未承認の恒久コード変更を直ちに本番へ展開する。
- ウ インシデント管理でフェイルオーバー/回避して復旧し、その後、問題記録を起票してRCAを行う。
- エ インシデントを終了し、原因を調査しない。
正解:ウ (3)。 アは迅速な復旧目的に反する。イは変更統制を迂回する。ウは復旧と後続の根本原因分析の順序が正しい。エは再発予防の機会を失う。
Q3
広範囲の決済停止で即時の事業損失が生じるとき、優先順位はどう決めるか。
- ア 影響度と緊急度を共に評価し、高優先度とエスカレーションを決める。
- イ 受付順だけを使う。
- ウ 根本原因が判明した場合だけ影響度を評価する。
- エ 全インシデントを同じ優先度にする。
正解:ア (1)。 アは広い影響と即時損失を共に反映する。イは事業影響を無視する。ウは復旧優先度にRCA完了を誤って要求する。エは対応の差別化を不可能にする。
Q4
変更から展開までの正しい順序はどれか。
- ア 先に展開し、失敗した場合だけRFCを記録する。
- イ RFCが承認されればテストなしで直ちに展開する。
- ウ 構築後、評価・承認を省略してリリースする。
- エ RFCを評価・承認し、構築/テストとロールバックを準備してからリリース/展開し、監視・レビューする。
正解:エ (4)。 アは記録・評価・承認を事後にする。イは承認をテストや展開と混同する。ウはリスク・便益・実現可能性・財務評価と承認を省略する。エは統制された変更とリリースの境界を守る。
Q5
SLAとSLMの関係を正しく説明するものはどれか。
- ア SLAは測定値、SLMは目標値である。
- イ SLAは合意文書、SLMは合意・監視・レビュー・報告を継続する管理活動である。
- ウ SLAとSLMは共に一回限りの展開承認である。
- エ SLMは停止時だけ行う根本原因分析である。
正解:イ (2)。 アはSLIとSLOも混同する。イは文書と反復管理活動を正しく区別する。ウはサービスレベル管理と変更/リリースを混同する。エはSLMを問題管理に誤って限定する。
全問題は独自作成であり、IPA過去問題を使用・翻訳・改作していない。
範囲、公式出典及び注意事項
セキュリティインシデント対応、監査、内部統制はAP26の範囲であり、本稿のサービス管理インシデント手順とは区別する。
- IPA、応用情報技術者試験(レベル3)シラバス Ver.7.2 — 2026-10-21確認
- IPA、試験要綱・シラバスについて — 2026-10-21確認
- IPA、試験要綱・シラバスの変更内容 — 2026-10-21確認
本資料はIPAと提携せず、IPAの承認を受けたものでもない。学習、合格又は試験結果を保証しない。